日本海軍の保有していた航空母艦のデータです. なお,航空母艦は戦争前に計画されたものは龍や鳥など空を飛ぶ縁起のよい動物の名前がつけられ,戦争中の1943年に山の名前が加わりました. 山の名前は本来は重巡洋艦に使われていましたが,これ以上重巡を建造する必要がなくなったので,これから増加する空母に割り当てられたようです. ただし,客船などから改造した空母には鷹の文字が入っています.
太平洋戦争では航空戦力の重要性が増大し空母が艦隊の主力となりました. 日本の空母は大きさの割に搭載機が少なかったようです.これは格納庫が密閉式であったこと,航空機の翼の折り畳みが小さかったことが原因のようです. 小型の空母が前線にほとんど投入されなかったのは,速力が遅くカタパルトを装備していないため重量が増大した新鋭機を発進させることが困難だったからです. これはアメリカの事情と対照的でした. また,アメリカの空母に比べると被害を受けたときの回復能力(ダメージコントロール)が劣っており,一度被害を受けるとすぐに使えなくなってしまったことは最大の欠点でした.
鳳翔型
世界で初めて最初から空母として建造された. 太平洋戦争では大きさが小さいこともあり第一線で使われることはなかった.
鳳翔型の要目
- 基準排水量 : 7410 t
- 速力 : 25 kt
- 主要兵装 : 14cm砲4門
- 搭載機 : 15機?
同型艦
鳳翔 (ほうしょう)
1922年12月27日横須賀工廠で竣工,終戦時残存→1946年解体開始
赤城型
八八艦隊の巡洋戦艦・赤城を空母に改装. 当初は三段の飛行甲板を持っていたが,実用性に乏しいため一段の全通甲板に改装. 太平洋戦争の前半に活躍. 20cm 砲を搭載しているのは,空母でも艦隊砲戦をする局面が想定されていたためである.
赤城型の要目
- 基準排水量:36500 t
- 速力:31 kt
- 主要兵装:20cm砲6門,12cm高角砲12門
- 搭載機:91機
- 同型艦
赤城型の同型艦
赤城 (あかぎ)
1927年3月25日呉工廠で竣工→1942年6月6日ミッドウェー海戦で沈没
[天城 (あまぎ)]
関東大震災により被害を受け廃棄
加賀型
八八艦隊の天城が使えなくなったために戦艦を改装. 赤城と同じく三段甲板を持っていたが後に全通甲板に改装. 赤城と第一航空戦隊を編成し,太平洋戦争の前半に活躍. 20cm 砲を搭載しているのは,空母でも艦隊砲戦をする局面が想定されていたためである.
加賀型の要目
- 基準排水量:38200 t
- 速力:28.3 kt
- 主要兵装:20cm砲10門,12.7cm高角砲16門
- 搭載機:90機
加賀型の同型艦
加賀 (かが)
1928年3月31日横須賀工廠で竣工→1942年6月5日ミッドウェー海戦で沈没
蒼龍型
日本海軍が建造した初めての本格的空母. これが以後の日本海軍の標準的な空母となる. 飛龍は,艦橋の位置などが蒼龍と異なるので,改蒼龍型と考えられる. 太平洋戦争の前半に活躍.
蒼龍型の要目
- 基準排水量:15900 t (飛龍は17300 t)
- 速力:34.5 kt
- 主要兵装:12.7cm高角砲12門
- 搭載機:73機
蒼龍型の同型艦
蒼龍 (そうりゅう)
1937年12月29日呉工廠で竣工→1942年6月5日ミッドウェー海戦で沈没
飛龍 (ひりゅう)
1939年7月5日横須賀工廠で竣工→1942年6月6日ミッドウェー海戦で沈没
龍驤型
半ば実験的に建造された小型空母. トップヘビーで艦の安定性に問題があった.
龍驤型の要目
- 基準排水量:10600 t
- 速力:29 kt
- 主要兵装:12.7cm高角砲12門
- 搭載機:48機
龍驤型の同型艦
龍驤 (りゅうじょう)
1933年5月9日横須賀工廠で竣工→1942年8月24日第2次ソロモン海戦で沈没
祥鳳型
潜水母艦として建造され空母に改装できるように造られていた. 龍鳳は同型艦ではないが公式類別では祥鳳型になっていた.
祥鳳型の要目
- 基準排水量:11200 t
- 速力:28 kt
- 主要兵装:12.7cm高角砲8門
- 搭載機:30機
龍鳳型の要目
- 基準排水量:13300 t
- 速力:26.5 kt
- 主要兵装:12.7cm高角砲8門
- 搭載機:31機
祥鳳型の同型艦
祥鳳 (しょうほう)
1939年1月15日潜水母艦・剣埼として横須賀工廠で竣工→1941年12月22日空母への改装完了→1942年5月7日珊瑚海海戦で沈没
瑞鳳 (ずいほう)
1940年12月27日横須賀工廠で竣工→1944年10月25日エンガノ岬沖海戦で沈没
龍鳳 (りゅうほう)
1934年3月31日潜水母艦・大鯨として横須賀工廠で竣工→1942年11月28日空母への改装完了,終戦時呉で大破状態残存,1946年解体開始
翔鶴型
日本海軍の保有した最も実用的な空母. 太平洋戦争のほぼ全期間を通じて日本の主力空母であった. 特に瑞鶴は被害を受けることが少ない武運艦であった.
翔鶴型の要目
- 基準排水量:25675 t
- 速力:34.2 kt
- 主要兵装:12.7cm高角砲16門
- 搭載機:84機
翔鶴型の同型艦
翔鶴 (しょうかく)
1941年8月3日横須賀工廠で竣工→1944年6月19日マリアナ沖海戦で沈没
瑞鶴 (ずいかく)
1941年9月25日神戸川崎造船所で竣工→1944年10月25日エンガノ岬沖海戦で沈没
大鷹型
商船を改装した空母. 速力の遅さから新鋭機を発進させることに困難があり活躍できなかった. アメリカの護衛空母に比較すると複雑すぎたので改装に時間がかかりすぎた. なお,神鷹,海鷹は同型艦ではないが公式類別では大鷹型になっていた.
大鷹型の要目
- 基準排水量:17830 t
- 速力:21 kt
- 主要兵装:12cm高角砲4門
- 搭載機:27機
神鷹型の要目
- 基準排水量:17500 t
- 速力:21 kt
- 主要兵装:12.7cm高角砲8門
- 搭載機:33機
海鷹型の要目
- 基準排水量:13600 t
- 速力:23 kt
- 主要兵装:12.7cm高角砲8門
- 搭載機:24機
大鷹型の同型艦
大鷹 (たいよう)
1941年9月5日春日丸として佐世保工廠で竣工→1944年8月18日ルソン島北西沖で米潜の雷撃で沈没
雲鷹 (うんよう)
1940年7月31日客船・八幡丸として三菱長崎造船所で竣工→1942年5月31日空母への改装完了→1944年9月17日南シナ海で米潜の雷撃で沈没
沖鷹 (ちゅうよう)
1940年3月23日客船・新田丸として三菱長崎造船所で竣工→1942年11月25日空母への改装完了→1944年12月4日八丈島沖で米潜の雷撃で沈没
神鷹 (しんよう)
1935年4月30日商船・シャルンホルストとしてドイツデシマーク社で竣工→1943年12月25日空母への改装完了→1944年11月17日黄海で米潜の雷撃で沈没
海鷹 (かいよう)
1939年5月31日客船・あるぜんちな丸として三菱長崎造船所で竣工→1943年11月23日空母への改装完了→1945年7月28日別府湾で米艦上機の攻撃で沈没
飛鷹型
商船を改装した空母. 正規空母に劣らないほど活躍した. 特に隼鷹は敗戦まで残った数少ない空母であった.
飛鷹型の要目
- 基準排水量:24140 t
- 速力:25.5 kt
- 主要兵装:12.7cm高角砲12門
- 搭載機:53機
飛鷹型の同型艦
飛鷹 (ひよう)
1942年7月31日神戸川崎造船所で竣工→1944年6月20日マリアナ沖海戦で沈没
隼鷹 (じゅんよう)
1942年5月3日三菱長崎造船所で竣工,終戦時佐世保で残存,1946年解体開始
千歳型
水上機母艦として建造されたが,空母に改装できるように設計されていた.
千歳型の要目
- 基準排水量:11900 t
- 速力:29 kt
- 主要兵装:12.7cm高角砲8門
- 搭載機:30機
千歳型の同型艦
千歳 (ちとせ)
1938年7月25日水上機母艦として呉工廠で竣工→1944年1月1日空母への改装完了→1944年10月25日エンガノ岬沖海戦で沈没
千代田 (ちよだ)
1938年12月25日水上機母艦として呉工廠で竣工→1943年12月26日空母への改装完了→1944年10月25日エンガノ岬沖海戦で沈没
大鳳型
日本海軍期待の新鋭空母. 甲板には急降下爆撃に耐えられるだけの装甲を施してある. しかし,マリアナ沖海戦で潜水艦の雷撃を受け竣工後3ヶ月で沈んでしまった.
大鳳型の要目
- 基準排水量:29300 t
- 速力:33.3 kt
- 主要兵装:10cm高角砲12門
- 搭載機:53機
大鳳型の同型艦
大鳳 (たいほう)
1944年3月7日神戸川崎造船所で竣工→1944年6月19日マリアナ沖海戦で沈没
信濃型
大和型の3番艦を空母に改装. 大鳳よりも強力な装甲を持っていた. 装甲のない空母は敵航空機の航続圏外の安全な場所から航空機を発進させ,前方にいる信濃が航空機に対し燃料と爆弾を補給するという構想により建造された. 呉に回航する途中に潜水艦の雷撃を受け,竣工後わずか10日で沈んでしまった.
信濃型の要目
- 基準排水量:62000 t
- 速力:27 kt
- 主要兵装:12.7cm高角砲16門
- 搭載機:47機
信濃型の同型艦
信濃 (しなの)
1944年11月19日横須賀工廠で竣工→1944年11月29日潮岬沖で米潜の雷撃で沈没
雲龍型
当初,飛龍改型の中型空母として計画されたが,ミッドウェー海戦で空母を失ったために大量建造が計画された. 15隻の建造が予定されたが,実際に建造されたものは6隻であった. 登場したときには搭載する航空機と搭乗員が不足しており,空母としての活躍はできなかった.
雲龍型の要目
- 基準排水量:17150 t
- 速力:32 kt
- 主要兵装:12.7cm高角砲12門
- 搭載機:65機
雲龍型の同型艦
雲龍 (うんりゅう)
1944年8月6日横須賀工廠で竣工→1944年12月19日東シナ海で米潜の雷撃で沈没
天城 (あまぎ)
1944年8月10日三菱長崎造船所で竣工→1945年7月28日呉空襲で沈没
葛城 (かつらぎ)
1944年10月15日呉工廠で竣工,終戦時残存,復員輸送に従事,1946年解体開始
[笠置 (かさぎ)]
84パーセント完成,建造中止
[阿蘇 (あそ)]
60パーセント完成,建造中止,誘導弾・さくら弾の標的にされた
[生駒 (いこま)]
60パーセント完成,建造中止
伊吹型
ミッドウェー海戦で空母を失ったために改鈴谷型の巡洋艦を空母に改装. 全長よりも長い飛行甲板を持っていたので,新鋭機も発進させられる設計だった. 高角砲も配置が工夫され両舷への射撃が可能だった.
伊吹型の要目
- 基準排水量:12500 t
- 速力:29 kt
- 主要兵装:8cm高角砲4門
- 搭載機:27機
伊吹型の同型艦
[伊吹 (いぶき)]
80パーセント完成,建造中止
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